なぜ資産運用が必要なのか


このブログを読んでいる人たちは資産運用に興味をお持ちの方が多いと思います。個人で考えた場合、資産運用を行う動機は様々です。お金を増やしたい、老後の資金を確保したい、知的好奇心などきっかけはいろいろあると思います。今回は、長寿リスクを踏まえた場合、資産運用が必要であることについて説明します。

長寿というと普通はおめでたい事と捉えられます。しかしながら経済的に考えた場合、長寿は人生の資金計画を考える上では大きなリスクとなります。当然のことですが、長く生きれば生きるほど必要となる資金が増えるからです。

一般的には老後に向けていくらのお金を用意しておくことが必要などという説明があります。しかしながら人は何歳まで生きるか実際にはわかりません。慎重すぎる人はお金を残し過ぎることになりますし、あまり先のことを考えないような生活を送っていると生活費が不足することも考えられるわけです。

もちろん、老後の資金をいくら用意すればよいかというのはその人の生活スタイルによって異なります。ただ、非常に簡単な計算で考えると次のような考え方が出来ます。
計算しやすくするため、21歳から60歳まで40年間働き、80歳でお亡くなりになるというケースを考えてみましょう。

収入(手取り)が100で一定とした場合、その2割(20)を40年ためると、20×40=800となります。
これを20年間で使いますから800÷20=40が毎年の生活費となります。つまり仕事をしている間の生活費(100-20=80)の半分に抑えることができれば老後20年間生活できるわけです。
ただ、これは実際にはかなり難しいものです。毎年の手取りの2割を貯蓄に回すというだけでも多くの人にとって大変ですが、さらに定年すると直ちに生活費を半分にするのも困難です。

そして、最大のリスクは老後のお亡くなりになるまでの期間が20年かどうかわからないということです。先ほどの計算では80歳時点での資金は底をついてしまします。また、退職後もこれまでと同じ生活を送っていると10年、つまり70歳で底をついてしまうわけです。

つまり、金利ゼロの世界で貯金をしておくだけで、老後の資金を確保するのはかなり困難と言えます。この状況を解決する手段としては主に2つのやり方があります。1つは資産運用を行うことによって、効率的に資産形成を行うこと。もう1つはもう少し長く働くことです。

ここで、少しシミュレーションを行いながら、考えてみます。

まず、資産運用の効果を見てみましょう。
先ほどと同じように収入の20%を資産運用に回ります。
利回りがゼロの場合は20×40年=800でした。これを20年で割ると年間に使えるお金は40と、働いてきた時期の半分になります。

次に利回りが2%の場合、これは20×1.0240+20×1.0239・・・・となり、40年間貯めると1,232になります。同様に3%では1,553、4%では1,977、5%では2,537、10%だと9,737になります。
これを同様に20年で割ると、2%では62、3%では78、4%では99、5%では127、10%では487となります。現役時代の生活費が80だったわけですから、3%の利回りで運用が出来ていれば、退職時には十分な資産が蓄えられていることになり、生活を落とすことなく退職後の人生を過ごすことが出来ます。
つまり、資産運用と言っても、書店に並んでいるような、私は○○で資産を○倍にしましたと言った超人的なパフォーマンスを上げる必要はなく、一獲千金を狙った掛けは必要ありません。単に貯蓄習慣と3%程度の利回りが確保出来る先を見つけることが出来るように経済状況に気を掛けるだけでいいのです。

しかし、ここに来て難問が1つ出てきます。それは退職後の資金確保が20年分でいいのかという問題です。男女とも平均余命は80歳を突破しました。これは今後も伸びていくことが想定されます。日本で100歳を超える人は既に6万人を突破しました。つまり、老後の資金確保は既に20年分では十分といえない時代に入っているのです。では30年、40年とした場合、上記の試算は下記のようになります。

図1

これを見ると、退職後の人生が30年だと、4~5%の利回りを確保しないと現役時代と同様の生活をすることは出来ません。ましてや40年となりますと、5%超の利回りが必要となり、これは現在の経済環境を考えると少し経済情勢に気を配る程度では達成が難しいといえるでしょう。

では、ここで発想を変えてあと5年間働いでみましょう。5年間働くと退職後の期間も5年間短くなります。

図2

これを見ると、退職後25年(先ほどの30年と同じ寿命)だと3%の利回りで良さそうです。100歳まで生きる35年プランでも4%の利回りとハードルはかなり下がりました。

さらに、もう5年働いた場合を考えてみましょう。

図3

これを見ると、2~3%の間の利回りを出していれば十分と言えるのではないでしょうか。

つまり、ここから得られる示唆は下記の通りです。

●100歳まで生きることが現実的となってきた現在、就業期間を60歳までとして退職後に安定した生活を送るという従来のライフプランは成立しづらい。

●健康をキープして出来るだけ長期間働くことが必要。(60歳で定年を迎えるのと70歳まで働けるのとでは大きくライフプランが異なる。健康に働き続けることが最大の資産運用!)

●毎年あるいは毎月、収入の一定額を資産運用に回すことが必要。(できれば別枠管理する)

●資産運用を行う資金の利回りはそれほど高くなくてよいが、単純に現金を保有するだけでは厳しい。(資産運用で大儲けする必要はないが、0%では厳しく、資産運用は必須と言える)

資産運用で難しいことの1つにどれだけ儲ければいいのか解らないという事があります。目標額を設定し一気に達成しようとすると、どうしても早く目標を達成したくなりリスクを取り過ぎてしまうわけです。しかしながら、収入からの貯蓄額と退職後に必要となる生活費から逆算すると必要な資産運用利回りは決まります。今回見てきたように、退職後の資金確保のために必要とされる資産運用利回りはそれほど高いものではないため、特殊な運用能力は必要ありません。

必要なのは健康で出来るだけ収入を得る期間を長期化することと、収入の一定額を貯蓄する習慣に加え、少し資産運用に興味を持ってみるということなのではないでしょうか。

なお、今回の試算は全て自助努力によるものとして計算しており、実際には公的なサポートがあります。したがって、ここまでの積立は必要ではありません。年金額は個々人によって異なりますが、今回見てみた試算の考え方を参考に自分の資産運用を考えていくと、自動的に必要額と必要な資産運用利回りが計算されます。その結果、必要とされる投資資金の額は変わっても、「健康で出来るだけ収入を得る期間を長期化すること、収入の一定額を貯蓄し少し資産運用に興味を持ってみることが重要」という結論は変わらないのではないでしょうか。




 

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