Brexitが教えてくれたこと


①Brexitはマーケットのテーマとしては既に終息したと考えられる。
②投資家としては今後の動きよりも今回の動きを記憶にとどめ、次回に適切に対応できる様に準備しておきたい。

先週のマーケットは大方の予想に反して、非常に落ち着いたものとなりました。一週間前、マスコミや多くの識者が英国のEU離脱問題を取り上げ、中にはリーマンショックと比較する人もいましたが、既にマーケット的には終わったテーマのように思います。

もちろんこれは問題が解決したということではなく、サプライズの状態が終わり、数あるリスクの1つとしてリストアップされたということです。当然、この問題は長引いて尾を引くと考えられます。しかしそれはISやシリアの難民のようなイスラム諸国の不安定化や、中国の構造変化、ギリシャなどの問題などと同様のリスクの1つであり特別なものではないということです。Brexitを見て学んだのは、「必ずしも人は国全体として経済的に合理的な行動を優先するわけではない」ということと、「資本主義の中における格差の問題などの歪みが極めて大きくなっている」といういわば当たり前のことの確認であったといるでしょう。英国の問題はそのような問題の一つが表面化しただけであり、事後対応を見ている限り当局の危機対応は洗練られており、マーケットの混乱を極めて短期間に収束させています。これによってEU崩壊とか英国崩壊とか言うのは極端な意見と言えそうです。

さて、このようなイベントがマーケット的に終了したとき、投資家としては何をしておけばよいでしょうか。多くの投資家はすぐに次のテーマを探して新たな物色を開始します。しかし、私はこの様な時にイベントの記憶をしっかりと記録として残しておくことを重視しています。あの日、どのような銘柄が売られたか、その後の相場でどの様な銘柄がどの程度戻ったかをしっかりと記録しておくことです。歴史は繰り返すと言いますが、相場も繰り返します。特に英国のEU離脱問題はギリシャの問題と同じく、今後数年にわたり、様々な局面でリスクが取り上げられたり解消されたりを繰り返すでしょう。その時に、今回の記録が次の超過収益につながっていくわけです。

さて、海外の市場を見てみると米国は既にBrexit前の株価を回復していますし、当事者である英国はBrexit前の水準を上回っています。逆に日本やドイツの株価はその水準を回復していないわけです。マーケットでは年々金融政策の重要性が増しており、政治的なイベントについてもそれ自体よりもそれに対してどの様な金融政策が採られるかの重要性が高まっていると言えます。これは危機対応の方程式ともいますが、それによりグローバル経済の歪みは大きくなっており、その賛否についての議論はあると思います。しかし、市場参加者としては方程式を理解した対応が必要となるわけです。

さて、日本の市場を考えた場合の懸念点は、どうしても政策対応の余地が限られているように見えることです。黒田日銀総裁は懸命に打ち手があることをアピールしていますが、米国などと比べて場合、金融政策の余地は徐々に小さくなってきており、相対的に見劣りする可能性が高くなっています。日本経済は既にデフレの動きが顕在化してきており、これを如何に食い止めることが出来るかが政策的には重要となるでしょう。一方、投資の側面ではマクロ経済に関係なく個別企業の努力で成長を実現できる企業を選別する動きが、より強くなっていくのではないでしょうか。




 

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