年金基金によるスチュワードシップ・コードの受入れ


・政府の2016年骨太の方針の中で、年金基金によるスチュワードシップ・コード受入れを促進する方針が示された。
・アセット・オーナーのスチュワードシップ・コード受入れは運用会社の活動を後押しすると考えられる。
・アセット・オーナーが運用会社の活動を確認するためには、運用会社の開示の充実が望まれる。

平成28年6月2日、「経済財政運営と改革の基本方針2016 ~600兆円経済への道筋~」(骨太方針)が経済財政諮問会議での答申を経て、閣議決定されました。
経済財政運営と改革の基本方針2016 ~600兆円経済への道筋~

具体的施策を見ると、Ⅱ生産性革命を実現する規制・制度改革2.未来投資に向けた制度改革2-2活力ある金融・資本市場の実現(1)新たに講ずべき具体的施策ⅳ)金融仲介機能の質の改善②金融仲介機能の更なる充実・強化ⅵ)企業年金等の改善、の中に「年金基金等において、スチュワードシップ・コードの受入れの促進など、コーポレートガバナンスの実効性の向上に向けた取組を通じて、加入者等の老後所得の充実を図る。」という一文が入っています。

運用会社が真剣にスチュワードシップ活動に取り組むには、その顧客である年金基金などアセット・オーナーがスチュワードシップ・コードの受入れを表明しコミットしていることが重要とされてきました。日本でもGPIFをはじめとする公的年金の受入表明は進んでいますが、企業年金はメガバンク系やセコムなど一部の企業年金を除き受入表明に慎重な姿勢をとってきました。

企業年金がスチュワードシップ・コードの受入れに慎重な理由はいろいろありますが、大きな理由として運用委託先のスチュワードシップ活動を管理できるだけのリソースがない、自分たちで議決権行使基準も含めたスチュワードシップ・コードの受入れ方針を作成できないという事があります。このような問題は日本の企業年金だけではなく英国でも同様に見られた問題です。
(アセット・オーナーに求められるスチュワードシップ責任(英国の事例から)参照)
もちろん、アセット・オーナーに求められるスチュワードシップ責任はシンプルであり、自分たちで議決権行使基準を作る必要もありませんし、エンゲージメント活動を行う必要もなく、あくまで運用会社の活動を確認すればよいという事になります。

ただ、運用会社のスチュワードシップ活動が適切に行われているかという事を確認すること自体が容易ではありません。そこで、2012年以降アセット・オーナーのスチュワードシップ責任が強調される中、英国で強化されてきたのが運用会社の開示とアシュアランスです。英国の運用会社のスチュワードシップ・コードのページを見てみると詳細な活動方針と証跡が示されています。また、NAPFのスチュワードシップ・ディスクロージャー・フレームワークでは利益相反・議決権行使・エンゲージメントに関しては第三者によるアシュアランスを取るべきであるとしています。企業年金基金がスチュワードシップ・コードへの受入れを表明するためには、運用会社のスチュワードシップ活動が行われていることを容易に確認できるための仕組みが必要なのです。




 

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