スチュワードシップ・レポートの評価


・英国FRCは運用会社のスチュワードシップに関するディスクローズについて格付けを行う方針
・格付けの付与は運用会社にとっても開示内容の向上に対する強い動機づけになると考えられる

英国ではスチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードを所管するFRCが、機関投資家が作成し公表しているスチュワードシップ活動に関する報告書を2016年7月からランク付けする方針を示しています。英国でも日本と同様、スチュワードシップ・コードの受入れを行った機関投資家は、コードの各項目をどのように捉え対応するかの方針を開示することとされており、その方針はFRCのHPで見ることが出来ます。また、定期的に議決権行使やエンゲージメントなどの活動についても開示することが望ましいとされています。

スチュワードシップ・コードのステートメント(各原則に対する受入方針)や活動報告のレポートの主な読者は、顧客や受益者という事になりますが、特に重要なのはアセット・マネージャーに運用を委託しているアセット・オーナーになります。アセット・オーナーがスチュワードシップ責任を果たすには、①投資原則の中にスチュワードシップを入れる、②マネージャーサーチのスチュワードシップという項目を入れる、③マネージャーレビューの中でスチュワードシップ活動のモニタリングを行う、という事が必要となります(アセット・オーナーに求められるスチュワードシップ責任(英国の事例から)参照)が、そのためにはアセット・マネージャーがしっかりと活動内容を公表していることが不可欠となるわけです。

FRCがスチュワードシップに関するレポートのランク付けを行うのは、機関投資家と取引を行う顧客・受益者に対して、一層充実した検討材料を提供することを目指してのものです。つまり、FRCはランク付けを実施することでスチュワードシップ・コードへの参加を表明した機関投資家が一層の情報開示を行う事を期待して、このような施策を考えていると言えます。ランク付けはTier1とTier2の二段階であり、FRCが期待されている水準に達しているか、達していないかで2つのグループに分けられるわけです。

アセット・オーナーから見た場合、委託先の運用機関がTier2となった場合、なぜそこに委託しているのかという事が問われることになるため、委託しづらくなることが想定されます。その結果、運用機関としては低評価を避け、FRCが求める水準以上の開示を行う事への動機付けとなるわけです。(なおランクの結果は公表前に機関投資家に伝えられるとされており、対応への猶予期間もあるとされています)。

FRCは評価を行うにあたって運用会社が報告すべきものとして、利益相反の開示、エンゲージメントの証跡、スチュワードシップ活動の具体的な活動方針、の3点を挙げています。この3点はNAPFのスチュワードシップ・ディスクロジャーフレームワークではいずれも第三者機関によるアシュアランス(保証)を得ることで客観性・信頼性を担保することが求められています。

英国ではコーポレートガバナンス・コードのモニタリングは機関投資家によるスチュワードシップ責任の下で行われるべきと考えられており、その実効性を確保するためにも機関投資家によるスチュワードシップ・コードの受入れが形式的なものではなく、実態を伴ったものであることをチェックすることが必要だと考えられているのです。

FRC promotes improved reporting by signatories to the Stewardship Code 14 Dec 2015




 

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