統計の基礎とパーセプションギャップ(平均値と中央値)



①一口に平均と言っても加重平均と単純平均で結果は大きく異なる。
②また、平均的な姿を考える際に平均値をとるのか中央値をとるのかでイメージが変わる。
③市場分析の結果を聞く際には、結論だけでなくそのプロセスを正確に理解することが重要。

統計的な数値を見る上で注意しなければならないこととして平均値と中央値の違いや単純平均と加重平均の違いがあります。例えば、2014年には東証一部で外国人投資家の保有比率が3割を超えたという事が大きく取り上げられていましたが、これは加重平均の数字であり、実際に保有比率が3割を超えている銘柄は200銘柄もありませんでした。実は3割を超えたという外国人保有比率は単純平均で見ると14%弱しかなかったのです。この様に新聞などで報道されている数字を見る際には、それがどの様な計算に基づいているのか、その数字を使う上で、自分の理解は適切かという事を常に確認していく必要があります。

これは、先ほどの話は単純平均と加重平均の話ですが、単純平均を使えば、それが平均的な数字であるとは限りません。

例えば、家計調査では、日本の家計が保有する金融資産は2015年時点で1世帯あたり平均1805万円です。では、日本の平均的な世帯は1805万円の金融資産を保有しているのでしょうか。実は、保有している貯蓄額順に世帯を並べたときの中央値(真ん中の値)となる世帯の貯蓄額は997万円(貯蓄ゼロの世帯を除くと1054万円)となっており、平均値の1805万円を大きく下回っています。これは、高額の貯蓄を持っている世帯が、平均を押し上げてしまうために起こるわけです。

金融機関が金融商品の販売戦略を考える時や、政府が政策を考える際、1世帯当たりの金融資産を1805万円と考えるのと、1000万円前後と考えるのとでは、とるべき戦略は大きく変わってくるでしょう。

これは投資戦略を考える際も同じで、ストラテジストなどによる市場分析が何をどの様な基準で見た結果なのかを正確に理解することが重要です。多くの分析資料ではそのことが明記されていない場合もあり、そこで出されている結論の部分だけを捉えると間違った理解になることがあります。市場分析などでは、様々な統計処理をされた数値が提供されますが、そこで出されている結論がどの様な処理により導かれたのかという事を理解することは極めて重要なのです。

投資ではみなと同じものを見て、誰も思いつかないことを考えることが出来た時にチャンスが来ます。それを我々はパーセプションギャップ(認識ギャップ)といいますが、統計を理解しておくことはコンセンサスと異なる見方を理路整然と行うことが出来るという点で、とても有効であるといえるのです。




 

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